活動記録
ACTIVITIES

神戸セッション開催報告

2019年9月20日

レジリエンス人材育成事業 神戸セッション開催報告
2019年9月14日-16日 於:神戸大学 ニチイ学館

開催内容:ガイドブック参照
「レジリエンス社会構築を牽引する社会起業家精神育成プログラム」企画ワーキンググループ

概要

文科省2019年度共通基盤事業「レジリエンス社会を牽引する起業家精神育成プログラム」の神戸セッションが、2019年9月14日-16日に神戸大学 ニチイ学館において開催された。参加学生は、北海道大学、東北大学、宮城大学、神戸大学、京都大学(EARTH on EDGEコンソーシアム内大学)に加えて、EDGE-NEXT 事業を実施中の他コンソーシアムからの選抜を経て、九州大学、早稲田大学、滋賀医科大学、静岡大学からの学生・大学院生を含む、合計20名が集まった。受講生の参加意欲は高く、早速、レクチャーやワークで得た知識やスキルを活用して、事業アイディアをデザインし始めている。
開催ホストとなる、神戸大学と主幹校である東北大学から、それぞれ、小川真人理事、矢島敬雅理事が、主催の挨拶を行った。オペレーションは、EARTH on EDGEスタッフ(ガイドブック参照)が実施した。プログラムは、講義・ワーク・フィールドワークで構成され、初日の14日は、4名の講師とグループワークにより、習得を目指す4つのスキルのうち、「社会システムの理解」「極度の状況変化の予測」「防災・減災の価値と経済的価値の両立」について、デザイン思考、システム思考と、ビジネスデザインのアプローチを提供しつつ学習した。

2日目の15日午前中には、人と防災未来センターでフィールドワークを行い、「極度の状況変化の予測」に関するスキルの習得を図った。午後のプログラムでは、4つのグループに分れて、ブレーンストーミング手法を用いて、「極度の状況変化を予測した上で」チーム内の1人のテーマを取り上げて分析し、事業モデルを立案するワークショップを行った。レクチャーとワークを繰り返す双方向のアクティブラーニングは、座学を中心とする既存の大学教育とは異なり、インプットとアウトプットをリアルタイムにエンドレスに繰り返すため、受講する学生には、タフなメンタリティーが要求される。そのため、プログラム提供者は、与える情報量やワークの負荷、時間配分など、受講生の理解度や疲労度を注意深く推し量りながら進行した。
最終日の16日には、受講生全員が、3日間で学んだことをフィードバックした自身の事業アイディアを発表し、他の学生、教員から示唆に富む助言を得て、閉会した。

今後のプログラムの展開と運営

東北セッションでは、教員/ファシリテーターは、荒削りだけれど可能性のある、各受講生の現在のアイディアを、リアリティを伴う事業モデルにするように、また地域のニーズに叶うアイディアにブラッシュアップできるように、フォローしたいと考えている。更に、東北で開講されるプログラムによる新しい学びに、受講生を迎え入れ、挑戦し続ける醍醐味を味わってもらえるように、オペレーションの準備を進めている。
東北セッションの主題の中心は、宮城県の女川町と雄勝町のフィールドワークにある。ここでは、習得をめざす4つのスキルのうちの「自助・共助・公助の視点」と、「防災・減災の価値と経済的価値の両立」にフォーカスする。受講生は、「自助・共助・公助」のシステムやアプローチを理解した後に、資源として調達可能な「自助・共助・公助」を見極めて、事業アイディアに落とし込み、課題解決までのストーリーを描くところまでを学ぶ。北海道での発表に向けて、特に、「防災・減災の価値と経済的価値の両立」するポイントを、各受講生が見出せるように、働きかけていきたい。

教育効果の測定

本プログラムは、3つの評価デザインを有する。(1)運営・提供コンテンツへの満足度調査、(2)4つのスキルの習熟度に関する調査、(3)課題解決のあり方と進度に関する調査である。(1)により、プログラムで提供する内容や、時間配分、情報量、表現方法、ファシリテーターのアプローチ等の妥当性を測定し、プログラム運営上の問題点と、受講生が体得したメリット、デメリットを把握する。このデータは、次回のプログラム組成に瞬時にフィードバックする。これにより、プログラムのリアルタイムの改善が可能になる。(2)により、開催前に定義した、提供する教育効果のルーブリック評価指標に対し、一人一人の受講生が、各指標5段階のレベルのどの段階までを習熟しているかを、定量的に把握する。(3)により、最終プレゼンに至るまでの、受講生の事業アイディア立案レベルと速度を、定性的に把握し、サポートが必要な受講生には、ファシリテーターが伴走することにより、事業案の底上げを図ることができる。上記フィードバックの他に、(1)(2)(3)の評価結果は、次段階のプログラム開発に反映させる。
常に、変化する世界情勢や、複合的な災害に直前する地域コミュニティにおいて、緊急の事態に対応することのできる人材は、セクターの別なく求められている。そうしたニーズに即応して、人を育てる教育プログラムの開発手法もまた、求められている。緊急に複数の大学を横断し、多領域分野を包含しつつ開発し、更に開発されたプログラムを、大学教育のみならず、自治体や、地域ビジネス、地域コミュニティで、活用される必要がある。
「防災・減災 / 復興を牽引する人材育成」に焦点を合わせて、上記広範なエリアにネットワーキングを形成しながら教育カリキュラムを開発し、リアルタイムでインストールすることをめざす本プログラムは、上記の今日的な要請に応える1つのプラクティスを提示していると考えている。

受講生プログラムの感想(北大から参加した学生)

防災レジリエンスの意義について、「アンドレプレナーシップ」をキーワードとして分野横断的に学習した。あらゆる資本に影響する自然災害だからこそ文理の垣根を超えた総合知が要求されており、その期待に応答しつつ社会実装まで実現できる「起業家(アンドレプレナー)」が必要とされている。自分のような公共政策を学ぶ者にとって起業家精神に触れることは稀であり、今回のプログラムは大変に実り多いものとなった。

北海道セッション開催に向けて

東北・神戸それぞれ、協賛・後援となる自治体、大学、企業がついた形が整いつつある。北海道セッションについては、広域複合災害研究センター、厚真町、安平町、安平町復興ボランティアセンターの後援を受けているが、企業の協賛はまだない。企業向けの営業を強化し、「このプログラムの価値を理解して、企業サイドから求められて、スポンサーとなってもらう」ように、プログラムのオペレーションと並行して、アプローチする予定である。